取締役 | 北川 清太郎

食の世界からものづくりの現場へ。
キャリアの転機を経てナルックスに加わった北川取締役は、
父である現社長から「農業をやってみないか」と声をかけられたことをきっかけに、
光学技術を軸にした新たな価値創造の道を歩み始めました。
これからの時代を見据え、事業の拡張と組織変革を牽引する北川取締役にお話を伺いました。
PROFILE
プロフィール
ナルックスホールディングス株式会社 取締役
北川 清太郎
2002年、神戸芸術工科大学卒業後、食関連会社に入社。
食品メーカーにて商品開発部長としてキャリアを積んだのち、現社長の誘いをきっかけに2010年 にナルックスへ入社。
入社当初より新規事業開発を担当し、LED植物工場構想から農業事業の立ち上げを経て、現在 は国産カメリナの栽培・製品化を軸としたエネルギー・バイオプラスチック領域の研究開発を牽引 している。

ナルックスの未来を担うカメリナオイル
カメリナ事業のこれまでについて教えてください
入社当初、私はLEDを活用した植物工場の構想を立てていました。
しかし、初期投資が想定以上に大きく、採算が合わないと判断。
そこで「まずはやってみよう」と考え、畑を借りて 実際に農業に取り組むことにしました。
オムロン出身で有機農業をされている方に弟子入りし、栽培の基礎から学びましたが、現場では想像以上に多く の課題に直面しました。
価格変動や獣害といった自然のリスクに加え、農作物の価格は市場が決めるため、自分で値段をつけることができない。
“自分でつくって、自分で売る”という仕組みを作らなければ、本当の意味での事業にはならないと感じました。
それでも「誰もやっていないことをやってみよう」という想いから、新しい作物に目を向け、後に出会ったのがカメリナという植物です。
LEDや光合成といった自社技術にも通じる部分があり、光を扱う会社として“土の上でのものづくり”に挑戦してみ ようと決めました。
これまでのキャリアで印象的な出会いや影響を
受けた方は?
これまでのキャリアの中で、最も印象に残っているのは、カメリナ事業のきっかけをつくってくださった渡辺さんとの出会いです。
渡辺さんは、もともと大手企業で役員を務められていた方で、ナルックスでも社長の相談役として尽力されていました。
70歳を過ぎてもなお、現場に立ち続け、常に新しいことに挑戦される姿勢には大きな影響を受けました。 年齢に関係なく、学び続けるその姿を見て、「挑戦に終わりはない」という考えが自分の中にも根づいたように思います。
ビジネスの世界は、理想や綺麗ごとだけでは成り立たない。
厳しい判断を迫られることもありますが、渡辺さんはどんな状況でも誠実さを失わず、相手に真摯に向き合う方でした。
その姿から、“信頼とは言葉ではなく、行動で積み重ねていくもの”だということを学びました。
「間違った判断でも、間違いにしないこと」
この言葉は、私の中で大切にしている信条です。
失敗や困難をどう受け止め、どう結果に変えていくか。
その姿勢こそが、仕事を通して人として成長するということだと感じています。

カメリナ事業を通して、社会にどんな価値を生み出そうとしていますか?
カメリナ事業は、私にとって“農業”という枠を超えた、社会の未来づくりそのものだと感じています。 このカメリナオイルは、持続可能な航空機燃料(SAF)としても注目されており、現在は大手エネルギー会社とともに国産エネルギーの創出に向けた取り組みを進めています。
日本国内で航空燃料の原料として実際に“栽培が進められている”植物はごくわずかで、 その中でもカメリナは、国産での生産が可能な数少ない作物の一つです。
また、現在は福島県の原発跡地で、除染後も使われていない農地を活用した生産プロジェクトにも携わっています。
この取り組みでは、エネルギーの国産化だけでなく、地域農業の再生や農家の収益向上にも貢献したいと考えています。
経験と勘に頼りがちな農業を、衛星画像や光解析を活用したスマート農業へと進化させ、生産の安定化を実現していく構想です。
さらに、カメリナはプラスチックの原料(ナフサ)にもなる植物油を生成するため、脱炭素社会の実現にもつながります。
和歌山での生成を進め、将来的には“透明のバイオプラスチック”を生み出すことを目指しています。 実際に、タイのラジャマンガラ工科大学ではカメリナオイルを使ったコンタクトレンズの研究も進んでおり、技術交流を通じてグローバルな可能性を広げています。
カメリナは、ナルックスの「光」の技術と深く関わる存在です。
光で社会を照らし、環境を支える。
この新たな領域でも、ナルックスらしい“ものづくりの価値”を発揮していきたいと思っています。
食品メーカーから父のもとで農業の世界へ
ナルックスに入社されたきっかけを教えてください。
私は、小さい頃から「北川家の男はお前だけだから継げ」と言われてきましたが、若い頃は正直少し敬遠していました。
そのため、大学を卒業後は、食関連の会社に就職しました。
ただ、家庭を持ち、環境が変わる中で“自分の生き方”を見つめ直したことが、大きな転機になりました。 前職では商品開発部長まで務め、仕事は充実していましたが、勤務時間が長く、「このままでは家族との時間を 確保できない」と感じていました。
当時、父(現社長)に相談したとき、「うちで農業をやってみないか」と声をかけられました。 食品業界で培った経験もあり、植物や光といった“ものづくりの根本”に通じる部分を感じ、「ぜひやらせてほしい」 と手を挙げてナルックスに入社しました。
仕事をする上で大切にされている価値観を教えてください。
私は、仕事をする上で最も大切にしているのは「人とのつながり」です。
AIがどんどん進化していく中で、今後、人にしかできない仕事は何かを考えたときに、それは“人と人をつなぐ力” だと思っています。
具体的には、
「必要な人を判断し、必要な箇所に配置する力」「チームを束ねて円滑に回す力」「プロジェクトを進行する力」 そういった「機械では生み出せない、人にしかできない仕事」こそが、これからの時代に求められていくと思っています。
これからは、調査やデザインなどAIがクリエイティブの領域を担う時代です。
そのため、人とどう関わり、どう信頼関係を築くかがより重要になってきます。
だからこそ、私は常に人脈を大切にし、人とのつながりを広げていくことを意識しています。

長年の技術とONENALUXで更なる高みへ
「ONE NALUX」という言葉をどのように捉えていますか?
私は、ONE NALUXを「歴史と社風を全員で共有し、同じ方向に進むための合言葉」だと捉えています。
中国やタイなど、海外展開によって新しい仲間が増える中で、私たちの歩みや価値観をどう伝え、どう浸透させるかは大きなテーマです。
特に海外拠点では、M&Aで加わった企業文化が残っていることもあり、“共通の基盤”を つくることの難しさを感じます。
また、コロナ禍で部署ごとの朝礼や社是の唱和といった、理念を共有する場が失われたこともあり、コミュニケー ションの機会が減ったように思います。
だからこそ、もう一度「私たちは何者か」「何を大切にしてきたのか」を全員で再確認し、国内外・世代を超えて同じ 想いで進むことが必要です。
ONE NALUXは、そうした“つながり”と“共通意識”を取り戻すための旗印だと思っています。

ナルックスがこれからさらに成長していくために、社員にどのような姿勢やスタンスを期待していますか?
ナルックスは、光学技術を軸にしながらも、新しい領域への挑戦を続ける、将来性のある会社だと思っています。
その可能性をさらに広げていくためには、自分の仕事に誇りを持ち、責任をもって挑戦し続ける姿勢が欠かせません。
技術の会社だからこそ、正解にたどり着くまでには多くの試行錯誤が必要です。
しかし、その過程での失敗は将来的に大きな財産になる。
だから私は、チャレンジする失敗ならむしろ大歓迎だと思っています。
完璧を求めすぎず、まずはやってみること。
挑戦の中にこそ学びがあり、それが会社の進化につながると思います。
変化の速い時代において、失敗を恐れず前向きに挑戦を楽しめる人こそが、これからのナルックスを支えていく 存在になると感じています。
最後に、社員の皆さんへメッセージをお願いします
ナルックスは、外から見ても“信頼される会社”だと実感しています。
私自身、多くの取引先や金融機関の方とお話しする中で、「ナルックスさんは本当に誠実で安定感がありますね」 と言われることが多く、長年培ってきた技術力と姿勢がしっかりと評価されています。
だからこそ、社員の皆さんには今以上に信頼にふさわしい姿勢と品格をもって働いてほしいと思っています。 誇りを持つというのは、ただ会社を好きになることではなく、自分の仕事に自信と覚悟を持つことです。 その意識が、取引先やお客様への言葉・行動・判断にも自然と表れていきます。
一人ひとりが“ナルックスの顔”として、自信を持ってお客様に向き合えるようになれば、会社全体の信頼もさら に高まっていきます。
そうした循環を生み出せる組織こそ、これからのナルックスが目指す姿だと思います。
日本人として誇りを持つように、“ナルックスの一員であることに誇りを持てる会社”でありたい。 その想いを胸に、これからも一緒にナルックスの未来をつくっていきましょう。

INTERVIEW





